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不動産共有のリスク|売却・相続で困らないために
「兄弟で実家を相続したけど、このままで大丈夫かな?」
一つの不動産を複数人で所有する「共有名義」。 相続などをきっかけに、意図せず共有状態になるケースは少なくありません。 「仲が良いから大丈夫」と思っていても、将来的に売却や次の相続が発生した際に、思わぬトラブルに発展することがあります。
実は、共有名義の不動産は「所有者全員の同意」がなければ、売却も大規模なリフォームもできません。
この記事では、不動産を共有することで生じる3つの大きなリスクと、将来困らないための具体的な解決策について、プロの視点から分かりやすく解説します。
目次
- 放置は危険!不動産共有が抱える「3大リスク」
- 共有状態を解消するための3つの具体的な方法
- トラブルを未然に防ぐ!相続前の対策
- 共有不動産の固定資産税は誰が払う?
- よくある質問|不動産の共有名義
- 【売却できないリスク】
共有不動産全体を売却するには、共有者全員の同意 が必要です。 一人でも反対すれば、売却手続きを進めることはできません。 「売りたい人」と「住み続けたい人」で意見が分かれたり、連絡が取れない共有者がいたりすると、不動産を動かせない「塩漬け」状態になってしまいます。 - 【相続で権利者が増えるリスク】
共有者の一人が亡くなると、その人の持分はさらにその相続人へと引き継がれます。 例えば、兄弟2人での共有だった不動産が、甥や姪、その配偶者など、会ったこともない親族が加わることで、ネズミ算式に権利者が増えていく可能性があります。 関係者が増えれば増えるほど、合意形成は絶望的に困難になります。 - 【活用できないリスク】
売却だけでなく、大規模なリフォームや賃貸に出すといった活用にも、原則として他の共有者の同意が必要です。 意見がまとまらず何もできなければ、誰も使わない空き家として放置され、固定資産税や管理費だけがかかり続ける負の資産(負動産)になりかねません。
1. 放置は危険! 不動産共有が抱える「3大リスク」
不動産の共有は、権利関係が複雑になることで様々な問題を引き起こす可能性があります。 特に注意すべき3つのリスクを理解しておきましょう。
● 共有不動産は「全員の同意」がなければ動かせない
● 相続を重ねるごとに、権利関係はどんどん複雑化する
● 問題を先送りせず、できるだけ早く共有状態を解消することが重要
2. 共有状態を解消するための3つの具体的な方法
複雑になってしまった共有関係を解消するには、主に3つの方法があります。
当事者間での話し合いがまとまらない場合は、裁判所に「共有物分割請求」を申し立て、法的な解決を図ることも可能です。
● まずは共有者間で、誰がどうしたいのかを話し合うことが第一歩
● 話し合いが難しい場合は、法的な手続きも視野に入れる
● どの方法を選ぶにしても、専門家のアドバイスが不可欠
3. トラブルを未然に防ぐ! 相続前の対策
最も望ましいのは、そもそも安易に共有状態にしないことです。 将来の相続でトラブルを防ぐためには、生前の対策が極めて重要になります。
- 遺言書を作成する
「この不動産は長男に相続させる」といった内容の遺言書を作成しておくことで、特定の相続人に不動産を集中させ、共有状態を回避できます。 相続人同士の話し合い(遺産分割協議)の手間も省けます。 - 生命保険を活用する
不動産を相続する相続人が、他の相続人に「代償金」として現金を支払うことで公平性を保つ「代償分割」という方法があります。 その代償金の原資として、生命保険金を準備しておくのは非常に有効な手段です。 - 生前に売却・整理する
将来誰も住む予定がない不動産であれば、元気なうちに売却して現金化し、分けやすい形で残すというのも賢明な判断です。
● 争いを生まないための最善策は「遺言書」の作成
● 「誰か一人が相続し、他の人には現金で」という形を準備しておく
● 元気なうちに資産整理(生前整理)を進めることも大切
